〈空〉にもとづく十の理法
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〈空〉の真理はあらゆる存在のあらゆるありかたに通ずるものです。
それを展開させていけば際限はないのです。
それゆえ、ここでは、われわれ人間の生き方の根幹となるおもなことがらだけを、
ひろいあげることにしました。
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第一 ~~~~~ 色即是空
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万物・万象は、われわれが肉眼で見るようなすがたで実在するものではない。
すべてのものは、目に見えず、手にもとらえられぬ〈空〉によってできているのである。
(この原理を仏法では〈色即是空〉という。色とは物質・身体のこと。)
それゆえ、われわれが自分のからだやまわりに起こるさまざまな現象に
心をひきずりまわされるのは、影に踊らされているようなものである。
〈空〉の理を悟れば、そのような愚かさから抜けでることができる。
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第二 ~~~~~ この世に永久不変の現象はない
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万物・万象があらわれるのは、ある原因があって、その原因がちょうどよい条件にめぐり
あったときに、〈空〉がそのような現象をつくりあげるのであって、その原因ないし条件
が消滅すれば、現象も消滅してしまうものである。
したがって、この世のすべてのものごとは、けっして固定的に常住するものではなく、
つねに変化し、消滅するものである。この理がほんとうにわかれば、
現象の変化に心を動揺させ、苦しみ悩むことはなくなってしまうのである。
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第三 ~~~~~ この世に独立して存在するものはない
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〈空〉が宇宙のいたるところにすきまなく満ち満ちているものであり、
万物・万象がその〈空〉によってできているからには、万物・万象は〈空〉によって
つながっているものである。
独立して存在するものは、この宇宙にはひとつとしてありえない。
すべてがつながりをもち、すべてが相依って存在しているのである。
〈空〉の真理からこの万物・万象の相関性・相依性を悟らなければならない。
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第四 ~~~~~ 流動・創造・調和・秩序こそ宇宙のすがた
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〈空〉はつねに流動している。流動しながら、つねになにものかを創りだしている。
しかも、一部分を見れば、いかにも自由自在な流動と創造の活動をしているかのように
みえるけども、宇宙全体から見れば、ひとつの大きな調和をつくりあげているのである。
秩序を保っているのである。
この流動・創造・調和・秩序こそ、宇宙のありにままのすがたであり、したがって、
その一構成分子である人間のすがたも、そのようにあらねばならない。
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第五 ~~~~~ 根本の平等相と現象の差別相
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万物・万象がただひといろの〈空〉からできているからには、
人間はすべてその本体においては平等なのである。
人間平等の思想も、そこまで掘りさげたものでないと、ほんものではない。
しかし、その平等の本体から千差万別の人間が生じていることも、またまぎれもない
事実である。まだらのあることが、宇宙のありのままのすがたであるからである。
それゆえ、われわれは人間の本体の平等相を悟ると同時に、現象にあらわれている
差別相をも、ともに認めなければならないのである。
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第六 ~~~~~ 万人・万物は同根であり同胞である
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宇宙のすべてのものが、唯一絶対の〈空〉からできているのであるから、
地球上のすべての人間は、同根であり、兄弟である。
人間同士ばかりではない。あらゆる動物も、無生物も、もともとは兄弟なのである。
ほんとうの慈悲、ほんとうの愛情というのは、そうした万物同胞観から涌きでる、
徹底した自他一体感をいうのである。
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第七 ~~~~~~ 自分をも客観的に見る
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人間はつねに自分を主体にしてものごとを考えるために、ついすべての考えが自己本位に
おちいってしまう。
そこに恣意(しい)・ほしいままな心の発生がある。
その恣意と恣意の衝突が、もろもろの世の争いを生むのである。
ところが、自分も他人もおなじく〈空〉の所産・しょさん・であることを悟れば、
自と他が同位置に立ってしまうので、自分をも客観的に見ることができるようになる。
このことが、どんなに自己の精神的な成長に役立つか、ひいては世の平和の促進に役立つか、
はかりしれないものがある。
*所産=ある事の結果として生み出されたもの。作り出したもの。
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第八 ~~~~~~ 物心不二
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万物・万象がひといろの〈空〉からできているとわかれば、物と心が別ものの
ことでないことがわかってくる。
根源のエネルギーも心(宇宙意志)をもち、素粒子もそれをもっている。
物心はもともと一如であり、不二である。だから、ものごとを物質面だけから
考えたり判断したりすると、理解に大きな歪が生じてしまい、ものごとの本質は
つかみえないのである。
ゆえにわれわれは、〈空〉の悟りにもとずいて、なにごとも物資両面から考えて
いかなければならない。
とくにわれわれの身体については、それが絶対に必要である。
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第九 ~~~~~~ 生かされている自覚
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われわれ人間も、もちろん〈空〉によってできている。
ということは、宇宙の実在によってつくられているということである。
したがって、われわれは宇宙の実在と一体であり、その実在に活かされているのである。
この意識に徹するとき、われわれはほんとうの自由自在を得ることができる。
無限の生命を知り、くめども尽きせぬ生命力を自覚することができるのである。
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第十 ~~~~~~ 霊魂の実在を知る鍵
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〈空〉の理を知らないうちは、身体に生命が宿っているものと考えがちだが、そうではなく、
生命が身体をつくりだしているのである。
すなわち、宇宙の生命力である〈空〉がわれわれの身体をつくっているのである。
したがって、人間の生命力は、いつも身体に縛りつけられているものではなく、
目に見えぬあるエネルギー体をつくって身体から離れ、自由に活動することもできる
はずである。
また、死後においても、人間の生命のエネルギーがぜんぜん生命をもたぬ物質へ
百パーセント還元すると考えるのは、かえって不合理である。ここに、霊魂という
ものの実在を知る鍵がある。
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さぁ!みなさん!
いっしょに考えてみましょう。
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幸福の処方
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1 幸福は、つねに明るい望みをもちつづけている胸のなかにある。
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2 幸福は、日常のなんでもない小事とともにある。
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3 不幸に感ずるものごとにたいしては、それがけっして決定的なものではなく、
不変のものではないことを悟ること。その悟りに、幸福への転換がある。
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4 幸福は、客観的にものを見、平均でものを見る精神とともにある。
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5 幸福は、物質の宝は少なく欲し、精神の宝は多く欲するところにある。
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6 自信は幸福とともに住み、虚栄は欺瞞(ぎまん)という居候に悩まされる。
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7 幸福は、使命の自覚をもってする創造生活のなかにある。
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8 幸福とは、絶対なものに任せきるところにある。
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9 幸福は、愛されるより、愛するところにある。
あたえられるより、あたえるところにある。
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10 ほんとうの幸福は、みんないっしょに幸福になるところにある。
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参考資料 庭野日敬著 人間への復帰
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